ジャンゴ 繋がれざる者 ネタバレあり あらすじ&感想 キングシュルツはなぜ撃った?

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ジャンゴ 繋がれざる者はタランティーノ監督の映画です。

「キル・ビル」が殺し屋+カンフー映画なら、「ジャンゴ 繋がれざる者」はタランティーノ流の西部劇です。
キル・ビルなどのアクション映画が好きな人なら、この映画もおすすめできます。

上映時間は2時間38分と長めですが、最後まで展開が詰まっています。
舞台は奴隷時代のアメリカ。黒人に対するひどい差別が描かれ、劇中では差別用語「ニガー」が延々と繰り返されます。

主人公の相棒キング・シュルツはなぜ撃ったのか?について紹介します。

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あらすじ(ネタバレあり)

物語の始まり

舞台は黒人奴隷制度が残るアメリカ南部。
主人公ジャンゴ・フリーマン(ジェイミー・フォックス)は奴隷として鎖につながれています。映画冒頭、ジャンゴと妻ブルームヒルダは逃げようとして捕まってしまい、別々に売られるところから始まります。

売られて運ばれている最中、歯医者を名乗るドクター・キング・シュルツが登場。彼は実は賞金首を仕留めて稼ぐバウンティハンターでした。三兄弟の賞金首を知っている奴隷はいないかと尋ね、ジャンゴが知っていると答えます。シュルツは奴隷商人を殺し、ジャンゴを買い取り、行動を共にすることになります。

ジャンゴは3兄弟を倒せば自由を与えると約束され、実際に果たして自由を手にします。
しかし彼の望みは、何よりも妻ブルームヒルダを救い出すこと。シュルツはそれを受け入れ、ジャンゴを鍛え上げます。冬を共に過ごし、ジャンゴは南部一の早撃ちに成長しました。

カルビン・キャンディの農園へ

ブルームヒルダはカルビン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)が支配する農園にいることが判明。正攻法で「妻を解放してほしいや売って欲しい」と言ってもうまくいかないため、二人は作戦を立てます。

キャンディは奴隷同士を戦わせる“マンディンゴ・ファイト”という残虐な娯楽を行っており、そこで命を奪わせる姿が描かれます。逃げ出した奴隷ダルタニアンは「500ドルの奴隷だから逃げられない」と言われ、犬に食い殺されそうになります。シュルツは助けようと買い取ろうとしますが、ジャンゴは目的のために冷酷な判断を下し、結局奴隷は犬に殺されてしまいます。

農園に着くと、召使のスティーブン(サムエル・L・ジャクソン)が登場。足を悪くした老人ですが、鋭い観察眼と毒舌で二人を警戒します。ブルームヒルダは罰を受け、灼熱の屋外で裸で蒸し焼きにされていました。シュルツは「同じドイツ人だから話したい」と言い、ジャンゴとブルームヒルダを再会させます。

交渉の行方

晩餐の席で、表向きは“戦士を買う”交渉をしていたものの、スティーブンがブルームヒルダとの関係に気づき、カルビンに告げ口。カルビンは激怒し、ブルームヒルダを殺すと脅します。結局、戦士ではなくブルームヒルダを12,000ドルで買う契約に。契約がまとまり、ようやくブルームヒルダを救えるかに見えた瞬間、シュルツがカルビンを撃ち殺してしまいます。そしてシュルツも撃たれ、命を落とします。これをきっかけに屋敷内は大乱戦に発展します。


問題のシーン:シュルツはなぜ撃ったのか?

契約は成立していました。ブルームヒルダを連れ出すだけで良かったはずなのに、なぜシュルツはカルビンを撃ったのか。

シュルツは賞金首ハンターとして誇り高く、文化的教養もある人物です。カルビンがベートーヴェンを屋敷で弾かせる場面にも嫌悪を示したのは、自国の作曲家がこんな腐った奴隷を使っている屋敷で使われていることに、心底軽蔑していました。

ディナー後の会話では、奴隷を「ダルタニアン」と名付けたことに触れ、作家アレクサンドル・デュマの名前を持ち出します。カルビンは無知を晒し、シュルツは皮肉を込めて「デュマは黒人だ」と突きつけます。最後にはお前には二度と会いたくないさようならだ。といい。

カルビンはピキッときます。

そして契約の最後、カルビンは「握手をしなければ契約は無効だ」と屈辱的に迫ります。耐えかねたシュルツは、隠し持っていた銃でカルビンを撃ち殺したのです。


解釈と考察(2つの説)

1. 屈辱に耐えられなかった説

博学で理性的なシュルツも、最後の最後でプライドを踏みにじられました。
昼間の犬の件やカルビンの侮辱で積もった怒りが爆発し、感情が理性を上回ったのです。

2. 善悪の線引き説

シュルツは元々、奴隷制度や差別に反対の立場でした。ジャンゴを対等に扱い、他の奴隷にも自由を願っていたほどです。そんな彼にとって、残虐なカルビンを生かしておくことは耐え難かったのではないでしょうか。

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その後の展開

シュルツの一発は物語を強制的に「破滅」へと導くスイッチでした。
ジャンゴは乱戦に巻き込まれ捕らわれ、逆さ吊りにされて生殖器を切られそうになります。スティーブンは「ぬるい死より、過酷な奴隷労働の方がお似合いだ」として、ジャンゴを売り飛ばします。

しかし運搬中、ジャンゴは護送人をそそのかし銃を奪って反撃。3人を殺し、ダイナマイトを手に再び農園へ。途中でブルームヒルダを救出します。

最後はカルビンの葬儀を終えて屋敷に帰ってきたスティーブやカルビンの姉、奴隷のこーラともうひとり。屋敷の上から早撃ちで賞金首3人を撃ち、姉も撃ちます。奴隷は逃がしてやると2人逃がし、それで最後はスティーブ。両足を撃ち、屋敷を去る際に導火線に火を付けるジャンゴ。スティーブは絶対お前は逃げ切れない。この殺された人たちと農園があるからだ。みたいなセリフを言っています。外で待っているブルームヒルダは屋敷から出てきたジャンゴに笑顔を。ジャンゴは屋敷を振り返りサングラスをして、屋敷が木っ端微塵になり証拠も隠滅されます。これでラストです。

屋敷から出てきたジャンゴはサングラスをかけ、ブルームヒルダと笑顔で見つめ合いながら去っていきます。

ポイント

  • シュルツの一発:理性的だった彼が感情で動いた瞬間が、物語を大きく転換させる。

  • クライマックス:爆破と共にすべてを焼き払い、ジャンゴが真の“繋がれざる者”となる。


感想

長尺で残虐な描写も多いが、アクション、ユーモア、スタイリッシュな演出が融合したタランティーノらしい一本。
最後は派手すぎるほどのカタルシスで締めくくられ、復讐譚としてもエンターテインメントとしても強烈に印象に残りました。

「ジャンゴ 繋がれざる者」は、タランティーノらしい過剰な暴力表現とユーモアに彩られた西部劇。