映画化もされた「寄生獣」の作者「岩明均」の歴史漫画「レイリ」がすごくおもしろかったので紹介します。
遅筆の岩明さんが6巻まで制作した貴重な作品になります。
といってもレイリは「岩明均さんは原作」で「絵、作画は室井大資さん」が描いています。
原作作成に岩明均さんが構想から13年かけているのでレベルもものすごく高くぜひ読んでいただきたい作品になります。
ネタバレがあるのでまだ読んでいないかたは注意してください。
※著者のあとがきなどを読むと、主人公を武田信勝、土屋昌恒(土屋惣蔵)、岡部元信の娘と変えていったのだと思います
漫画レイリのあらすじ ネタバレあり
ここではまず漫画レイリのストーリーなどを紹介します。
始まりから終わりまで記載するのでネタバレしたくない方は見ないように注意してください。
レイリが描かれている時代は織田信長、徳川家康がいる戦国時代
まず時代背景としては織田信長が天下へと手を広げている時代。豊臣秀吉や徳川家康を配下にしたがえ天下統一を目論んでいます。
主人公レイリは剣の腕の立つ死にたがりの女性 武田信玄なき息子の武田勝頼の軍にいる
始まりで村のものたちと木刀で戦い周りの男全員を圧倒する女性。それが主人公レイリです。
武田家に属していますが、武田信玄はすでになくなっており息子の武田勝頼が武田家の当主です。
長篠の戦いで両親と弟を殺され 恩人「岡部丹波守」と出会った
そんなレイリが今は仕えている岡部丹波守に出会うシーンが冒頭で描かれています。
長篠の戦いで負けた岡部丹波守は敗走中に一軒の家に立ち寄りご飯をいただきます。
それがレイリの家です。レイリは父、母、姉のレイリ、弟の四人で、その後岡部丹波守を追いかけた信長、家康側の兵士に父、母、弟を無惨に殺されます。
レイリは犯されそうに殺されそうになったところを岡部丹波守に助けられ娘として引き取られます。
岡部丹波守のモデルは岡部元信とのこと。
レイリは家族を皆殺しにされ、岡部の役に立ち家族のいる死後の世界に行きたいため早く戦場に行き死にたいと切望しています。
そんな誰も敵わない強いレイリに勝つ男が武田家最強の男「土屋惣三」です。
※後に「片手千人斬り」の土屋惣三として名を馳せます
※モデルは土屋昌恒
そして土屋惣三と出会いレイリは武田家のある任務をおうことになります。
レイリは武田信玄の孫、武田信勝の影武者
その任務とは武田信玄の孫「武田信勝」の影武者です。
見た目がそっくりでまだ声変わりもしていない武田信勝の影武者として修行をすることになったレイリ。
土屋惣三にも剣や馬術、忍術など様々なものを学び最強の影武者として鍛え上げられます。
武田信玄の息子 武田勝頼に才能はなく、武田信勝こそが武田家再興の光
武田信勝はこの時わずか14才程度…、しかし頭のよさを武田信玄に認められ跡取りは武田勝頼ではなく武田信勝と言われるほどでした。
そんな信勝は暗殺のターゲットとして狙われることにもなっておりレイリは影武者として働くのです。
ある日三人いる影武者のうちの一人が殺されます。
レイリと土屋惣三は暗殺者を見事を返り討ちにします。
高天神の戦い
そんな武田信勝の影武者として働くレイリの元に知らせが入ります。
それは武田家の領「高天神城」が織田信長の部下徳川家康に攻められ半年以上持ちこたえ、そろそろ限界との知らせ。
影武者の仕事を放棄し恩人「岡部丹波守」のいる高天神城に救出に向かうレイリでした。
徳川家康との出会い
高天神城をぐるりと囲む徳川軍。
徳川家康の背後をとり殺そうかと思ったレイリ。
しかし、殺してはいけない勘が働き殺すことはしませんでした。
殺したとて徳川軍は揺るがないとハッタリをかまされたのもあり…
恩人「岡部丹波守」との別れ
なんとか高天神城に忍び込んだレイリ。
裏のサル返し、犬返しという道から入ったレイリ。
高天神城にて武田家に見捨てられていることを告げみんなで逃げることを提案しますが、岡部丹波守様は全員が逃げられないことを悟り最後の戦いにて死ぬことを告げました。
レイリは元来た道から副将を含め逃がすために奮迅の活躍をし逃がすことができました。
殺されそうになったところを土屋惣三に助けられました。
武田家の滅亡まで
天才「武田信勝」の作戦
武田信勝は作中では策を思いつき明智光秀に手紙を出しています。
武田信玄が明智光秀のことを大層褒めているといった旨の手紙です。
天才である信長は良い才能であるが、本当に良い人物、天下を治めるべき人物は明智光秀と。
この作戦がうまくいくのか…
武田信勝は武田勝頼をかばって死ぬ…
しかし、ある日武田勝頼と武田信勝が城で守ることで喧嘩となった時に暗殺者がまたやってきます。
父武田勝頼が殺されると思った武田信勝がかばい武田信勝は若くして死ぬことになります。
※実は武田信勝が暗殺のターゲットだったのですが…
救いは小山田信茂の岩殿城
岩殿城は岩の上に立てられた城でここにいれば少数でも簡単に1年でも守ることができるだろうと武田信勝は目論んでいました。
しかし、武田家の希望武田信勝が殺されたことを小山田は知り、武田家の武田勝頼を含む武将を見捨てます…
武田勝頼は土屋惣三とともに最後の戦いへ
武田勝頼は部下を含め全員名誉の死を迎えるために最後の戦いに向かいます。
レイリは影武者の任をとかれます。
死にたがるレイリに対し土屋惣三からは息子である平三郎を託されます。
レイリは土屋惣三が好きということを涙ながらに伝え、土屋惣三も好きな気持ちを伝えますが最後の戦場に向かい死を迎えるのでした。
レイリの復讐
武田信勝の策により明智光秀は織田信長は本能寺で裏切られる
前述した武田信勝の作戦(明智光秀への手紙)で普段から信長にいじめられていた明智光秀はこの手紙を励みに頑張っており、隙を見せた織田信長を本能寺の戦いで殺します。
岩殿城で一年耐えられれば救いの光があるむねを語っていましたが、わずか三ヶ月でこの本能寺の変がおこります。
惜しい話ですよね。
まぁここは史実ではなくフィクションの楽しみでもあるのですが…。
武田滅亡のキッカケは 武田家の重鎮 「穴山玄蕃」の裏切りだった
武田家は武田勝頼を見捨てた小山田も殺されることになります。
しかし、ここでレイリは武田信勝を殺したのは穴山玄蕃であることを知ります。
復讐に燃えるレイリ。
徳川家康は堺から逃げる時に穴山と逃げるが…
武田家を破滅へと導いた穴山玄蕃ですが、徳川家康と一緒に堺にいる最中に本能寺の戦いが起こります。
堺から徳川領に戻るため死ぬかもしれないという気持ちで戻ったその時にレイリの復讐が始まります。
ふたたび徳川家康の背後をとった凄腕のレイリ…
徳川家康も殺すことはできますが、名門武田家はそんなことはしないと徳川家康と交渉をします。
持ちかけた条件は穴山玄蕃と違う出発時間に出ること。
後から出発した穴山玄蕃を待ち構えていたのはレイリ…。
武田信勝と同じ姿をしたレイリに武田信勝と見間違えた穴山玄蕃に復讐を果たします。
※史実では穴山玄蕃は徳川家康とはぐれて地元住民に殺されたとのことです。
レイリの復讐後
土屋惣三の息子の土屋平三郎と寺に
レイリは復讐後、駿河国清見寺にて土屋平三郎とゆっくりとした生活を送ります。
しかし、土屋平三郎は「出世したい」との要望がありレイリは行動に出ます。
それは遊びで狩りに出ていた徳川家康に対して、かわりに獲物をとって神社につれてきました。
徳川家康に土屋平三郎を預ける 土屋忠直に出世
そこで家康に土屋平三郎のことを「土屋惣三の息子」ということで紹介をします。
土屋惣蔵は最後の戦いで「片手千人斬り」の異名をとるほど活躍したので、家康に気に入られ召し抱えられることになりました。
その後、平三郎は徳川秀忠に召し抱えられ土屋忠直として2万石の大名になるとのことでした。
レイリは旅に出る
最後に人生で携わったキャラクターの顔が出てきて、レイリはどこかに旅に行くところで終了となります。
幸せな人生になるように想像するハッピーエンドとなります。
まとめ レイリは寄生獣の岩明均が完結まで作成した稀有な作品
寄生獣と言えば一番おもしろい漫画と言われるほど、有名な作品で映画化もされています。
ただ岩明均さんは日本一の遅筆と自虐で言っているほど遅く、完結した作品は「寄生獣」以外に短編がいくつかある程度です。
現在連載中のヒストリエは10巻まで出ていますが、11巻はかれこれ何年発売されていないか…
楽しみにしている方も多いことでしょう。
岩明均さんファンは絶対に見るべき作品
岩明均さんは日本でトップに入る漫画家と言っても過言ではありません。
しかし、作品数は多くなく「寄生獣」「骨の音」「七夕の国」「雪の峠・剣の舞」「ヘウレーカ」と寄生獣以外はほぼ1巻で終わります。
そんな岩明均さんが構想を始めたのは2001年、それから12年(2013年)かけて構想を作り上げたようです。
それから漫画化まで6年、ものすごく時間がかかった作品ではあるのでとても貴重な作品だと思います。